モノクローム

堀江敏幸の小説を読むとモノクロ映画を観ているように感じることがある。決して古くさいという訳ではない。そこがどこで、いつの話なのかをいつの間にか見失ってしまう。そしてそれが妙に心地よいのだ。

ゼラニウム (中公文庫)

ゼラニウム (中公文庫)

語り手がフランスで出会った女性たちへの追憶というかたちで描かれる短編集。2002年に朝日新聞社から出版されていたものが文庫化。ハードカバーでじっくり読むのもよいが、出先に向かう地下鉄の中や、ザワザワした喫茶店でコーヒーを飲みながらパラパラとページをめくる方がしっくりとくる。