昭和63年10月5日


友人が送ってくれた「竜馬がゆく」の文庫本から1枚の古びたレシートがでてきた。
古い本の中から何かが出てきたとき、大抵はその本が読まれた時に手近にあったものが栞として挟まれているので、本の持ち主の過去が突然目の前に姿を現したような気分になる。

そのレシートには、山形屋 昭和63年10月5日と記入されている。
山形屋というと鹿児島にある老舗のデパートだ。
その年友人は京都の親元を離れ鹿児島の全寮制の中学に入学している。
竜馬がゆく」には維新の中心にあった薩摩の若者もたくさん登場し、ちょうどレシートが挟まれていた2巻では寺田屋事件で薩摩の若者がたくさん命を落としている。
異郷の地でひとり13歳の彼は何を思いながらこの本を読んでいたのだろう。
そしてその頃僕ははどうしていたのかな。