第一印象ってあまりあてにならない

昨年の11月頃、突然右手の指が痺れるようになった。
人差し指、中指、薬指の三本だ。
育児休暇が1ヶ月ぐらい過ぎた頃のことで、最初のうちはなんだろうと思いながらもあまり気にとめていなかったが、しばらくしてふと考えた、
「もしかして脳梗塞とか。脳に腫瘍とか・・・そういうヤツだったらどうしよう」


一度こういう考えに取り憑かれると、もう不安で不安でしようがなくなる。
でもツレアイにはなかなか言い出せなかった。心配させてもいけないと思ったのだ。
そもそも、どこのどんな病院に行ったらいいのかもわからない。
イライラしてついツレアイにきつくあたったり、この頃はけっこう辛かった。
だんだん指の痺れはひどくなり、ツレアイにも隠せなくなった。
それでも「まあたいしたことないと思うけど」なんて言ってたけど、
さすがに痛みが伴うようになってきたので病院にいくことに。


今から思うと滑稽なんだけど、最初に行ったのは「脳神経外科」。
ツレアイが少し早く仕事を切り上げ、病院に送り出してくれた。
わりと近所の小さな病院なんだけど、最近出来たばっかりみたいで新しい。
電子カルテも導入していてわりと近代的。ちょっと安心。
「・・・その症状だと、脳神経が原因の病気ということは考えられませんね、ますは整形外科に相談なさった方が・・・」
CTぐらいとるのかと思ってたので問診だけ?とも思ったが、お医者さんの説明は理路整然としていてわかりやすい。とりあず納得。最悪の事態は避けられたようだ。
その足で、整形外科に行った。


町の整形外科という趣の病院。待合室もちょっと薄暗い。
診療時間の終わる間近にいったせいか、看護師さんもちょっと怒っているように見える。
お医者さんもちょっと怖い感じで、むかし子供の頃に良く行った整形外科の先生に似ている。
あそこにはあまり良い思い出がない。
ちょうどインフルエンザが流行ってたこともありマスクをしてて表情が読めない。


「うーーーん。とりあえずレントゲンとるか」。


レントゲン室に通されたのだけど、ここも薄暗い。
看護師さんもちょっと粗っぽい。不安が募る。


「・・・腫れてるな。やはり腱鞘炎か。症状もバネ指の典型的な症状だ。でも痺れの原因はよくわからないな。とりあえず炎症を抑える薬を出すから様子を見よう。」


すごく汚いデスク、かろうじてつくられたスペースの上のカルテに乱暴に記入する。
でも説明はわりとしっかりとしていた。
よく見るとマスクごしに見える目はけっこう優しそう。ちょっとホッとする。

出てきた薬はロキソニン。いつも風邪を引いて喉がはれたり頭痛がするというと処方されるやつで僕は相性がいい。
不思議なもので、ホッとしたら最初におっかなく見えた先生や看護師さんも優しく見えてくる。
帰り際に、診療時間が終わっているにも関わらず親に連れられてきた子供を診てあげていた。
そう言えば、あの汚いデスクは僕の会社の机にそっくりだったな。
なんだか親近感がこみ上げてくる。
もう診療所の薄暗さもきにならなくなっていた。


結局、その整形外科には2ヶ月ぐらい通った。
先生の説明は丁寧だったし、話も親身に聞いてくれた。看護師さんも気さくに話しかけてくれる。
しばらくロキソニンを飲んでいたのだが、なかなか腫れが引かず、薬をインテバンプレドニンというものに変えたら劇的に症状が改善された。
先生が言うのは「冷やすのが良くない」というので寝るときに手袋をしたりもした。
このバネ指というやつは、寝起き時に特にひどい症状がある。指が曲げ伸ばしができないのだ。それに非常に痛い。
でも、その薬を飲み続けていたらだんだんそれも無くなり、今では痺れも完全になくなった。


結局、原因は何だったのかは今でも良くわからない。
パソコンの使い過ぎってのが一番よくあることらしいが仕事休んで寧ろ使う時間は減った。
多分一番考えられるのは、それまで全くやっていなかった育児と家事。
その頃、娘が良く泣いたので、その度に長時間抱っこすることもあったので、それが原因かもしれない。
「落とさないように!」と気負って力が入りすぎてたんじゃないかなあとも思う。
育児中の主婦には手首の腱鞘炎になる人も多いらしい。

先生がいうには、「普通君のような年齢の男性がかかることは無いのだが念のため」リュウマチとも疑われ血液検査もしたのだが、
全く正常とのこと。ついでに出てきた数値によると肝臓もずいぶん健康になっていた。


とにかくそんな感じで乗り切ったと思った指の腱鞘炎(バネ指)だったのだが、今朝またちょっとその症状がでていた。
でも寝起きだけで、日中は気にならないし、痺れもない。
薬がまだ残ってたはずと思い、探したらでてきた。
明日の朝もおなじようだったら少し飲んでみよう。